最も間近かつたのを、よく見た。が、白い風呂敷の裂けめは、四角にクハツとあいて、しかも曲めたる口である。結目が耳である。墨繪の模樣が八角の眼である。たゝみ目が皺一つづゝ、いやな黄味を帶びて、消えかゝる提灯の影で、ひく/\と皆搖れる、※々に似て化猫である。
 私は鵺と云ふは此かと思つた。
 其の鄰、其の鄰、其の上、其の下、並んで、重つて、或は青く、或は赤く、或は黒く、凡そ臼ほどの、變な、可厭な獸が幾つともなく並んだ。
 皆可恐い夢を見て居よう。いや、其の夢の徴であらう。
 其の手近なのの、裂目の口を、私は餘りの事に、手でふさいだ。ふさいでも、開く。開いて垂れると、舌を出したやうに見えて、風呂敷包が甘澁くニヤリと笑つた。
 續いて、どの獸の面も皆笑つた。

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